絶好のチャンスを何度も逃す
テレビ業界はこの10年で、大きなブラウン管の時代から軽い薄型の時代へと大きな技術革新を遂げた。日本の家電企業はチャンスを把握していただろうか。シャープは長年の薄型テレビの研究・開発の経験をもとに、国内に液晶パネルの工場を建設することを早急に決断した。同社は液晶パネルの技術力に頼って薄型テレビの時代に急成長し、今も液晶テレビ市場で発言権を握っている。ところが、多くの日本企業がこの絶好のチャンスを逃した。
ブラウン管時代の王者だったソニーは状況判断を誤り、ブラウン管市場を名残惜しみ、かなり遅れてサムスンとの共同出資でパネル工場を建設した。ソニーは世界的に有名なブランドであるにもかかわらず、高コストにより同社のテレビ事業は赤字が続いた。また、パナソニックのプラズマ技術は、一時は液晶パネル技術と天下を二分したが、同社は保守的な姿勢を見せ、プラズマ技術を他社と共有したがらなかった。これもプラズマテレビがニッチ商品になった原因の一つだ。
政府の支援不足