「富裕になるまで25年もかかった。不動産業は一夜で多くの富豪を生み出すことができる。事業を行うのは細い骨を食べるようなもので、不動産投資は脂身を食べるようなもの。不動産の極端な暴利により、多くの企業家は事業を起こしたがらず、資金を不動産投資に回している」と、寧波で会社を営む儲会長は話す。
浙江省で会社を経営する徐会長は、「温州のアパレル企業の多くが多元的な投資を行っている。実力のある者は自分で不動産を開発し、規模の小さい企業は不動産に投機的に投資している。温州には、工場を経営する夫は1年でなんとか10万元ほど稼ぐが、妻は不動産を購入して楽に100万元以上を稼ぐという夫婦も少なくない。このような差が多くの人を手っ取り早い金稼ぎに走らせないわけがない」と語った。
浙江省のある研究所の報告によると、今年の同省の経済には製造業への投資が大幅に減少する一方で、不動産投資が増加するという特徴が見られる。今年1~5月の同省の固定資産投資は前年同期比26.2%増で、2005年以来の最高水準に達し、伸び率は前年同期より7.2ポイント上昇した。
浙江省楽清市の電子工業協会など10の業界団体の事務局長を取材したところ、2000社余りの企業を代表する団体の責任者は、「企業家は金がないと言っているが、実は多くの資金を不動産や株式に投じている」と話す。
産業空洞化のまん延がバブル経済の前兆となるおそれも