2001年に中国が世界貿易機関(WTO)加盟国になって以来、中国企業の海外投資は急速に成長し、昨年の中国対外直接投資の純流出額は世界全体の5.2%となり、日本やイギリスなどの対外投資大国を初めて抜いて世界で5位となった。記者はこのほど、海外投資の過程で直面する課題などついて、中国商務部の瀋丹陽報道官らを取材した。
▽中国企業のEU投資急増 「欧州財政危機が起因ではない」
瀋報道官は、欧米財政危機が世界の投資活動に与える影響を冷静に判断しなければならないと指摘。また欧米財政危機により投資協力の商談期間が長くなるなどマイナスの面も必ずあるが、全体から見ると、中国企業にとって、世界経済は有利な情勢にあるとした。その理由について「市場にはニーズがあり、中国企業の経営能力も今いっそう高まっている。それに加え、中国政府が企業の海外進出を全面的にサポートしており、全体から見ると、課題があるというよりチャンス」と指摘。
注目に値する点として、欧州連合(EU)に対する中国の投資が、2009年280%増、2010年101%増と、急速に伸びていることが挙げられる。今年の上半期も100%近い成長をみせており、主にはルクセンブルク大公国、ドイツ、イタリア、オランダ、スペインなどに流れている。「つまり市場にニーズがあるということ。中国企業は市場にチャンスがあると察知すると積極的に行動する」と瀋報道官。
瀋報道官は中国企業のEUへの投資急増について、「欧州財政危機が主な原因ではない」との見方を示している。その理由として、欧州危機が発生する以前も、中国企業の対欧投資は大幅成長していたことを挙げた。そして今後、さらに多くのEU加盟国の企業や国民が中国の対欧投資がもたらすメリットを目にし、中国企業の投資は引き続き右肩上がりとなると予測。