▽中国企業の海外M&A失敗率は高くない
中国企業の海外M&A(合併と買収)の失敗率は高いとする見方について、瀋報道官は「1つのM&Aプロジェクトが成功したかどうかは、短期間のうちに出せる答えではない。米コンサルティング大手マッキンゼー・アンド・カンパニーは最近になってやっと1990年代の中期に全世界で行われた大型のM&Aに関する報告をまとめ、M&Aの成功率は3割程度とした」と指摘、「M&Aが成功したかどうかは、十数年経った後、振り返って見てやっと分かるもので、やみくもに結論を出せるものではない」とした。
中国商務部が公表しているデータによると、今年上半期、中国企業の対外M&A受け渡し金は90億ドル(約6930億円)に達しており、うち3件のプロジェクトは62億ドル(約4774億円)規模だった。3件の内訳は▽中国国営の石油大手「中国中化集団」(シノケム)が、ノルウェー国営石油会社「スタトイル」からブラジルの油田権益の40%を30億7千万ドル(約2364億円)で取得▽中国の化学大手「藍星集団」がシリコン生産で世界大手のノルウェー「エルケム」の株式を19億5000万ドル(約1500億円)で100%取得し買収▽中国最大の電力会社「中国華能集団」と「広東粤電集団」が共同で、米マサチューセッツ州に本拠を置く電力会社「インタージェン」の株式50%を約12億ドル(約 924億円)で取得。
ただ中国企業は海外進出の水準をさらに高める必要があることも否定できない事実だ。欧米の大型多国籍企業と比べると、海外進出している中国企業は2流3流の企業が多く、ほとんどが伝統的な建設請負会社。ハイテク産業や高付加価値製品を扱う企業はあまり見られず、コア競争力が不足している。
また、海外進出している中国企業が海外で直面するリスクもますます高まっている。東日本大震災に伴う大津波で在日中国人研修生2人が亡くなり、数人が負傷、帰国を余儀なくされた人も少なくない。中国がラオス人民民主共和国に投資して建設された水力発電プロジェクトでは6月、大型の鉄砲水が発生し、4人が負傷、1人が行方不明となった。
「人民網日本語版」2011年9月14日