米国債格下げショックによる影響は全世界の経済に波及している。金融市場における動揺は今後も続くだろう。中国の投資家によるドル建て資産保有は世界一の規模を有しており、手中にある兆単位のドル建て資産の価値が毀損することが恐れられている。
完全防御、米国債以外の投資は考えられない
中国投資有限公司の高西慶総経理は、「外貨準備は集中的に用いなければならない」と述べている。世界金融市場において、中国は巨額の米国債を所持する国である。核兵器を保有することで相手国を威嚇するのと同じく、米国債には、国同士の経済対立に欠かすことのできない要素を持っている。当然ながら、こうした「経済戦略上の武器」はバラバラに用いることはできない。
これは、米国債格下げ後、金融危機によるドル安基調に歯止めがかかり、ドル上昇の兆しという事実が証明している。反対に、日本円、ユーロ圏における経済は、深刻な影響を受けている。つまり、過去3年における中国の外貨準備をドル優位にしてきたことは決して間違いではなかったということになる、とはいっても、投資家の警戒感を拭い去ることはできない。外貨投資が外国債に使われるのであれば、なぜ石油などの資源に戦略投資しようとしないのか?なぜ中国が欲しがっているハイテク製品を買おうとしないのか?なぜ、今、米国債を買わなければならないのか?