中国工業情報化部(工信部)は9日に「中国工業経済運行夏季報告記者会見」を開催し、「今年1~7月、中国の自動車生産・販売の成長率が鈍化し、10年ぶりの低水準となった。今年1~7月、中国の設備製造業の成長率は、前年同期比15.9%増となった。しかし自動車業界の生産台数は2.3%増の1046万台、販売台数は3.2%増の1060万台にとどまった」と表明した。中国青年報が報じた。
統計によると、2001~2010年の「黄金の10年間」に、中国自動車工業の年間平均成長率は25%に達した。特に金融危機の発生後、中国は「自動車産業の調整と振興計画」を発表した。車両取得税の優遇、エコカーと新エネルギー車の補助金制度、中古車を売り新車を購入する際の補助金制度等の景気刺激策を受け、乗用車市場が景気回復を実現した。生産・販売台数は2年間で倍増し、自動車工業の成長を力強くけん引した。
この2年間の過度な好況、および景気刺激策の全面的引き締めによる連鎖反応により、今年の自動車市場の低迷は予想通りであった。工信部運行モニタリング協調局経済運行所の何亜瓊所長は、「工信部が年内に自動車業界の景気刺激策を発表することはない。通年の自動車生産・販売の成長率は約5%となるだろう。今後の業務の重点は、自動車業界の自主イノベーションのため、良好な外部環境を形成することだ。中国の自動車工業はすでに、高度成長期から安定的成長期に入った。自動車企業は政策支援のない市場環境に適応し、方針の調整を図らなければならない」と指摘した。
また上述した内容とは異なる意見もある。国家情報センター資源開発部の徐長明主任は、「長期的な計画を見れば、中国の自動車市場は高度成長期をあと10年以上継続し、その成長率はGDP成長率の約1.5倍に達するだろう。今後10年間、中国のGDP年間平均成長率は約9%に達すると見られ、GDP総額は昨年の6兆元から2020年には14兆元に達する見通しだ」と語った。
成長持続か景気低迷か、この問題について定説はなく、議論も続けられるだろう。しかし中国が自動車大国から自動車強国に変わり、量的成長から質的成長に変わることに関しては、専門家の意見も一致している。何所長は、「自動車業界には独自の市場周期があり、現在は正常な調整期間に入っている。資源や環境面のボトルネックと圧力を受け、高度成長を長期的に継続することは難しい。ゆえに自動車業界は発展方式の転換を実現するべきで、数量のみを盲目的に追求してはならない。また自主イノベーションに取り組み、技術面への投資を拡大することで、ブランドの樹立を推進するべきだ」と語った。
「人民網日本語版」2011年9月16日