◆中国が欧米危機のスケープゴートに
唐氏と同様、李氏も中国経済の先行きを楽観視していない。その理由は、表面的な欧米財政・債務危機のみならず、西側諸国のより深刻な社会危機である。
李氏は、問題の核心は西側諸国が直面している社会の二元化であるとした。「一方ではアップル、ボーイング、エアバスといった大企業があるが、インド、ブラジル、中国と競争する力のない靴や帽子の生産企業もあり、社会的な不均衡が生じている。西側諸国の政治家が、政治家としての高みに達していないことが問題だ。オバマ大統領にせよメルケル首相にせよ、かつてのレーガン元大統領やサッチャー夫人とは異なり、明確な意識と改革路線を形成しておらず、小さな問題に手を加えるばかりだ。ゆえに西側諸国の危機はさらに継続されるだろう」。
中国国際金融公司の王慶・董事総経理は、「米国になぜ債務危機が存在するのか。それはオバマ大統領と国会が対峙しているためだ。米国政府の債務発行による財政緩和政策は制限を受け、金融緩和政策を取らざるを得ない。米国の金融緩和政策が長期的に継続されれば、中国に対してインフレ圧力を形成する」と述べた。
これらを背景として、中国が「スケープゴート」となる可能性がある。李氏は、「西側社会は短期間内に矛先を中国に向け、為替レートの問題やその他の問題を取り沙汰するだろう。中国がWTOに加入した当初と比較して、現在の国際環境はより複雑で厳しさを増している」と語った。
「人民網日本語版」2011年10月25日