デジタル時代の到来が、ソニーとサムスンの競争モデルの優劣を逆転させた。競争の激化と製品価格の急速な下落に対応するため、ソニーは新製品とサービスの拡張に休むことなく突っ走った。そのような戦略の下、ソニーの事業は多角化し、娯楽産業にも進出することになった。
ライバルであるサムスンが採った戦略は、市場と消費者のニーズの変化を素早くとらえ、適応することだった。スピードが最大のポイントと考えたのである。このようなコンセプトによって、サムスンの製品は素早く大胆でイノベーティブであるというイメージが醸成された。これは中国市場でサムスンが消費者に与えている印象でもある。
サムスンはスピードを重視すると同時に、ソニーがフラットパネルテレビへの投資を躊躇している間に、内製技術も高めた。当時ソニーのCEOだった出井伸之氏は、フラットパネルに関しては、さらに良い技術を開発してからでも遅くないと信じていた。