日本中央大学教授の服部健治氏は1979年から日中経済協会、日中投資促進機構北京事務所の代表を歴任し、11年間中国で生活した。現在は日中協会の常務理事を務めている。新華網記者は先般、服部氏に中国のWTO加盟10周年についてインタビューを行った。
記者:中国がWTOに加盟して10年になるが、最も印象深かったことは?
服部氏:一つは中国の急成長、もう一つはその成長スピードだ。急成長を示す象徴的な出来事としては、GDPで日本を超え、世界2位になったことが挙げられる。さらに具体的にいうと、製品に関しては中国の鉄鋼の生産、自動車の消費、家電の生産などが世界一に、資産に関しては、外貨準備が世界一になった。そのほか、このような大成長を遂げるのに10年しかかからなかったことも注目すべきだ。当時、中国経済は世界七位だったが、現在は2位となっている。これが10年間の最も印象深い出来事だ。
記者:WTO加盟の効果が大きいと思うか?
服部氏:WTO加盟は中国に得難いチャンスをもたらしたと言える。WTO加盟前の時期は、ちょうど朱鎔基氏が90年代に推し進めていた三大革命(国有企業革命、金融革命、行政革命)が基本的に完成された時期にあたる。政治に関しても、「鄧小平理論」が1997年に開かれた中国共産党第15回全国代表大会において党規約に盛り込まれ、社会主義市場経済が公式に認められた時期である。三大改革の内、国有企業改革と市場経済の発展は非常タイミングが良かった。
私は、中国企業はWTOに加盟して世界の競争の中に入ったからこそ成長したと考えている。これは中国にとって大成長の第一段階だといえる。国有企業改革の中心は民間企業を育成することである。WTO加盟前、高い競争力をもつ企業は非常に少なかったが、それでも中国政府は企業を国際競争の中にいれることを決断した。