ではどうすればアメリカや他の先進国が、21世紀も知識経済のトップを保ち続けられるだろうか。まず、攻撃的になってはいけないことだ。政治家は、グローバルなイノベーションはゼロサムゲームではないことを肝に銘じるべきである。中国の台頭は必ずしもアメリカの不利益にはならない。
30年前、多くの悲観的な預言者が、イノベーション事業に集中投入する日本が欧米を徹底的に叩くだろうと声高に叫んできた。実際には、日本の平和的台頭がアメリカの起業家にデジタル時代の新産業をもたらした。
人々が中国を攻撃する理由が、愚かにも競争力を失ったアメリカ国内産業への補助金の支給にあるということを、このケースは示している。税金による補助金を得、その後破産した太陽光発電会社、Solyndra社がその良い例だ。
さらに危険な見通しとして、貿易戦争の勃発がある。中国のレアアース政策に対する欧米諸国のWTO提訴は、それを現実のものにしかねない。強硬に貿易戦争を発動させれば、結局はアメリカの利益を損なうことになる。