資産の質劣化リスク明らか
収支報告書によれば、多くの上場銀行の不良債権残高と不良債権率が昨年第4四半期から上昇に転じている。2010年年末に比べ、銀行全体の不良債権残高と不良債権率は共に下落傾向にあったものの、12行のうち、8行の不良債権残高と不良債権率は昨年第3四半期と比べて共に上昇した。中国工商銀行、中国農業銀行、中国銀行、中国建設銀行、中国交通銀行の五大銀行のうち、昨年12月31日時点での昨年第3四半期比の不良債権残高の増加額と不良債権率の上昇幅はそれぞれ、建設銀行が62億7300万元増の0.07%上昇、工商銀行が38億1000万元増の0.03%上昇、中国銀行が38億1000万元増の0.03%上昇、中国銀行が13億9400万元増の0.01%上昇となった。
建設銀行は、マクロ経済の変動の影響が大きい製造業、卸売り・小売業、不動産業関連の不良債権率が第4四半期に上昇したと見ている。
中国銀行業監督管理委員会が先般発表したデータによると、昨年通年の不良債権は残高・比率共に下降したが、第4四半期の不良債権残高は前期に比べ4.9%上昇した。機関別に見ると、大手商業銀行、株式制銀行、都市商業銀行、農村商業銀行の不良債権残高は揃って上昇しており、上昇率は2.7%から14.8%とまちまちであるが、農村商業銀行の上昇率が最高の14.8%だった。次いで株式制銀行が6.0%だった。貸付の分類で見ると、不良債権の上昇は主に劣後ローンで上昇しており、劣後ローンによる不良債権は新規不良債権の90%を占めるに至っている。この状況を受け、商業銀行は貸倒引当金の積み増しを強化し、貸倒引当金カバー率が昨年第3四半期末の271%から278%に引き上げられた。
「中国証券報」より 2012年4月6日