第二に、給与制度の改革改善が一層進んだことが、従業員の給与上昇に向けた条件作りをした。11年は第12次五カ年計画(2011-15年、十二五)スタートの年であり、この1年で各レベル政府は給与制度の改革をめぐって、所得配分を合理的に調整するために一連の措置を取った。全国24省・自治区・直轄市で最低賃金の基準が引き上げられ、平均上昇率は22%に達した。また27省区市で11年の給与指導ラインが発表され、最低基準ラインの引き上げ幅が14%を上回るところが多かった。各地で公務員の特別手当に関する業務が推進され、事業単位では業績に基づく給与体系が全面的に実施されている。給与制度の継続的改善は、給与の急速な伸びに向けて着実で力強い政策的根拠や制度的保障を提供するものだといえる。
第三に、企業の人材コストの上昇が従業員の給与の伸びを後押しした。長年にわたり、中国が国際的な産業分業に参入する上で安価かつ豊富な労働力資源が強みになっていた。だがここ数年は、中国企業の人材コストは持続的で大幅に上昇する傾向にある。一部の企業はますます激しくなる競争に積極的に応じ、人手不足現象を効果的に解決するため、または科学技術の人材や技術力をもった人材という優位点を確保するために、給与を引き上げ、福利厚生の待遇を改善するという効果的な手段を取った。ある統計によると、11年の出稼ぎ農民労働者の平均月収は初めて2千元の大台を突破して2049元に達し、前年比359元増加して増加率は21.2%となった。平均給与の急増現象は、中国企業の人材コスト上昇の一つの縮図だといえる。