欧州債務危機が再燃している。ギリシャに続いてスペインがユーロ圏のネックとなり始めていることに加え、イタリア国債もリスクが高まっており、これまでゆっくりと回復を進めてきた日本経済に対して冷や水を浴びかけさせている。欧州債務危機の日本経済への影響は、主に以下の三つが考えられる。
第一に、欧州債務危機はユーロ経済に悪影響をもたらしただけでなく、米経済や新興諸国に対しても大きな影響を与えている。BRICsを代表とする新興市場経済は、のきなみ自国の経済成長予測を下方修正している。世界経済の低迷は、貿易立国である日本にとっては国外市場のシュリンクを意味しており、日本経済の大きなリスク要因となっている。
第二に、欧州債務危機は投資家を弱気にさせている。世界的な株価の暴落を受けて、日本も株価が低迷している。6月4日の東京株式市場は大きく値を下げて今年最安値を記録。メーカーなど輸出関連企業は80%以上が下落した。ソニー株は1000円を割り込み、パナソニックは32年ぶりに500円を切ってしまった。野村証券アナリストの伊藤高志氏は、現在の株価は日本の実体経済と比較すれば低すぎるとはいえ、世界経済の先行きが不透明な中、さらに下落する可能性を示唆する。