日本の高齢者にとって、円高によるメリットは確かに多いが、円相場の高止まりが日本の多数の高齢者によって引き起こされているという説はどうだろう。日本政府は昨年末、為替市場に思い切って介入し、7-8兆円を投入して相場を下げた。史上最大規模の政府による介入だったが、もはや急進する円高を止めることはできなかった。同じ頃、米国の財政赤字が拡大し、ヨーロッパ債務危機の解決方法もまだ不透明な中、比較的安全な日本円のリスク回避の役割はより一層際立ったため、円高は避けられなかったのである。
さらに重要なのは、米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)は経済を救うために、量的緩和政策を打ち出したものの、欧米の経済は困窮から一向に抜け出せず、おそらく円高の圧力もも取り除かれないだろう。
膨大な日本円が流通する中、人為的に円を下げることの代償も巨大だ。また、日本の電子製品の競争力が低下しているのは、価格の問題も原因の一つではあるが、過剰な機能、消費者のニーズに対する誤解、普及が足りないなどの問題も無視できない。世界的に消費市場が落ち込んでいる中、日本政府が輸出のためにコストを惜しまず、相場を下げるやり方は、根本的な解決よりも、唯単に表面的な解決を図っていると見られる。
日本の産業空洞化はさらに深刻し、若者の就職環境が悪化する原因は、非常に複雑だ。内部と外部の要素が互いに影響し合っている。そのため、単純にそれを高齢者の人口増加による世代間の衝突の所為にする言い方は、偏っている。もっとも警戒されるべきは、右翼勢力が日本経済の衰えを隣国に責任転嫁して、八つあたりし、軍国主義の復活に伏せんを張ることを企むことである。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年8月8日