業界ウォッチャーの視点
テレビはかつて魔法の箱と呼ばれていた。1980年代から30年近く、テレビはほぼ全ての家庭で最も花形の娯楽だった。現在、テレビは依然としてお茶の間の中心に置かれてはいるが、家電の王様としての地位は日々凋落している。
インターネットの急速な発展により、多くの若者はパソコンやスマートフォンで情報を得るようになり、お茶の間のテレビの前に座ることは少なくなった。専門筋によると、テレビは若者にとって補助的なメディアとなったと言う。日系大手家電メーカーの、テレビ事業で赤字を埋めようとする発想は、おそらく実現困難な夢でしかない。
NPDディスプレイサーチが最近発表した世界テレビ出荷数予測によると、2012年のテレビ総出荷数は昨年比で1.4%減となる2兆4500億台。うち液晶テレビは2兆1600億代で5%増である。だがこれも昨年の7%増より伸び悩んでいる。
NPDディスプレイサーチの北米テレビ研究責任者のポール・ギャノン氏は、「世界のテレビ需要が減速している要因として、多くの地域で経済が不安定になっていること以外に、多数の液晶テレビメーカーが利潤を重視して価格の下落幅を落とさないようにしており、それが売り上げに影響を与えている」との見方を示す。