パナソニック、ソニー、シャープの2011年の赤字総額は170億ドルに達する見込みだ。
低迷する日本の家電メーカー3社は、それぞれ産業構造が異なるため、戦略や競争環境を見直しするにしてもその再建策は様々だ。パナソニック、ソニー、シャープが共通して直面しているのは「お茶の間敗戦」である。娯楽の多様化が大型液晶テレビへの需要を減少させたのと、韓国や中国といったライバルが低価格を武器に市場を席巻したのが原因である。そのため、液晶テレビ分野に力を入れてきた企業ほど、その痛手は大きいものとなる。
パナソニック:満身創痍からの反撃
2006年に社長に就任した大坪文雄氏は、形勢が明確になるにつれ戦略的決断を固め、新体制を構築した。利益貢献率の高くないテレビや半導体事業をスリム化し、太陽光発電や車載用電池やリチウムイオン電池、LED照明、スマートグリッド型都市開発等といった高成長が見込まれる分野に特化する。
AVC産業センターの副総経理、李秋緯氏は取材に対し、日本企業は利益が30%程度出る高収益分野を維持したいと考えていると指摘する。日本では、パネル生産を例に取れば、工場に課せられる規制が多く、土地の値段も高い。高い利益を出し続けたければ高コスト体質の分野を手放すほかはない。スリム化し、エネルギー分野に集中させるのだ。パナソニック全体から見れば正しい選択といえる。
ソニー:ゲームと携帯で最終決戦か