中国国家統計局は9日、注目を集めていた7月のマクロ経済運行データを発表した。今年7月、全国の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.8%増となり、6月の2.2%を0.4ポイント下回り、2010年2月以降の30カ月で最低の数値となった。CPI上昇率が2%を切るのは、過去2年半で初となった。全国の生産者物価指数(PPI)は2.9%減、5カ月連続の低下となり、2009年11月ぶりの低い数値を示した。人民日報海外版が伝えた。
市場からは、中国経済のデフレに対する懸念の声があがっているが、本紙の取材に応じた専門家らは、中国にデフレのリスクはないと表明した。CPI上昇率が2%を切ったことは、デフレ突入を意味するものではなく、物価上昇率が低く抑えられる時代を迎えたに過ぎないという。
◆残存効果の影響
専門家らは、CPI上昇率の低下の原因を3つ挙げた。(1)昨年からのマクロ経済抑制策が功を奏し、インフレが抑制された。(2)現在の経済成長の減速により、市場需要が減少した。(3)欧州債務危機等の要因により、投資家の意欲が低下しており、原油・金属等の大口商品の価格が低下した。
中央財経大学中国銀行業研究センターの郭田勇主任は、「経済成長率が一定の低下を見せているため、潜在的な社会の需要がある程度減少している。これは経済成長の減速の原因であり、CPI上昇率の低下の重要な原因でもある」と指摘した。
交通銀行の連平チーフエコノミストは、「残存効果(今期の価格指数に対する、前期の商品価格上昇の影響)が0.47%低下し、CPI上昇率の低下の主因となった。昨年の物価高騰の影響が薄れつつある」と述べた。
銀河証券の左小蕾チーフエコノミストは、「PPIのマイナス成長により、CPI上昇率の低下が生じた。原材料、特にエネルギー関連材料(石炭等)の価格低下が著しい。これらがPPIに反映され、CPIに影響した」と指摘した。
PPIの下げ幅は予想を下回った。連氏は、生産の需給が安定化に向かっているとし、「これは好材料で、原材料価格の低下が減速に向かっていることを示している。企業の生産・経営活動に良い影響をもたらすだろう」と語った。