今年に入ってから旱魃などの極端な天候が続いたため、米国やロシアをはじめとする世界の穀物生産国ではトウモロコシや大豆などの農作物の生産量が引き続き大幅に減少し、国際市場では穀物価格が大幅に上昇している。あるデータによると、今年6月以降、国際市場ではトウモロコシ価格が50%値上がりし、大豆などは約30%上昇し、その他の穀物価格も2008年以降で最も高い水準に迫っているという。ある専門家は、現在の世界の穀物不足は構造的な不足に過ぎず、中国国内の穀物市場には十分な供給があり、価格の上昇幅はそれほど大きくならないとの見方を示す。「人民日報」海外版が伝えた。
▽国内市場の供給は保障されている
北京工商大学経済学院の徐振宇副教授によると、米と小麦は中国の穀物価格の守り神のようなもので、この2種類の供給が影響を受けなければ、世界の穀物価格がどれほど変動しても、中国の穀物供給には直接的な影響はないという。
中国社会科学院(社会科学アカデミー)農村発展研究所の李国祥研究員によると、中国は穀物輸入大国であり、今回の価格上昇において部外者でいることはできないが、心配しすぎることもない。米国産大豆への需要は大きく、大豆価格が上昇すれば、中国の食用油価格に必ず反映されるが、全体としては、今回の値上がりが国民の生活に与える直接的な影響はそれほど大きくない。中国はこれまで穀物の安全保障を重視し、国民が食べる穀物の生産において保護政策を実施し、専門的な支援措置を取り、穀物栽培への補助金を支給してきた。こうして国民が食べる穀物について国際市場に大きく頼ることはなくなり、高い自給力を長期にわたって維持できるようになった。今年の小麦生産は9年連続の増産だ。また流通段階では市場での買取政策と国による調整措置とを実施し、穀物・食用油の整った備蓄システムをうち立てた。穀物・食用油価格が上昇すれば、国が備蓄を放出し、国民の食卓の安全を確保するという仕組みだ。