第三に、中国には環境が備わっている。
改革開放のスタートから蓄積されてきた政策的環境が、中国の大きな宝物だ。世界経済が低迷し、欧州の債務危機が蔓延し、米国の復興が力不足で、日本が泥沼に陥っていることを背景として、中国が擁する良好な政策的環境がますます珍重されるようになるとみられる。「制度の変遷が推進する経済成長」の「中国バージョン」が、これからより多くの新しいページを開くものと予想される。
だが話を元に戻すと、中国はこうした優位点の上にあぐらをかくことはできないし、かいてもいけない。現在、海外資本が中国から大規模に移転するということはまだないが、転ばぬ先の杖として、出現する可能性のある変化に十分に注意することが必要だ。
結局のところ、産業の傾斜ぶりがどのように変化するかは人の意志でどうこうできるものではない。改革開放からの最初の30年間、中国は多くの多国籍企業を引き寄せてきた。次の30年間は、生産要素やコストの変化が加速する可能性がある。ローエンドの製造業はタイミングや流れに逆らわずに主体的に撤退するのがよい。だがハイエンドの製造業はトップレベルに追いつくように努め、積極的に迎え入れ、協力を通じて中国の水準を高める必要がある。たとえば中国で現在は輸入しているベンツのSクラス、BMWの7シリーズ、アウディの「A8」といった高級車を製造できるようになった時には、中国の製造業がまた一つレベルアップを果たしたとみなすことが可能だ。
「人民網日本語版」2012年9月4日