米国トップレベルの不動産投資会社ティッシュマン・スペイヤー不動産は、このほど中国不動産市場からの撤退方針を明らかにし、上海市新江湾城にある2区画の土地を急いで売り払おうとしている。売却額は約48億元になるという。「新京報」が「央広新聞」の報道として伝えた。
海外企業が中国不動産市場に対する温度を下げるケースはこれだけではない。早くも昨年9月、世界最大の投資ファンド運用会社であるブラックストーン・グループは、上海にあるショッピングモール「チャンネル1」の95%の株式を、香港の不動産開発大手・新世界発展有限公司に14億6千万元で売却した。
今年に入ってから、外資系企業が中国不動産市場に対する温度を下げるケースが加速的に増えている。今年1-7月の不動産分野の外資導入額は228億元になり、通年では約400億元に上ることが予想される。これは2010年と11年の同外資導入額の半分ほどの数字だ。
具体的なケースをみてみると、企業本社の資金回収ニーズや投資戦略の変更といった原因が考えられる。だが全体としていえることは、年初以来の海外企業の中国不動産市場に対する大幅な温度低下は、人民元の低下の予測、不動産市場の引き続いての調整、経済の持続的な低迷と密接な関係があるということだ。
人民元の低下の予測についてみると、10年から11年の2年間、人民元は米ドルに対して7.7%値上がりした。こうした時期に海外資本が中国不動産市場に入り込むことは、それが資本の投入されるプロジェクト自体にとってマイナスであっても、人民元上昇がもたらす通貨の収益が7.7%に達するということだ。