今年に入ってから、米ドルレートは1ドルあたり6.3001元から現在の6.3449元に上昇し、人民元の対米ドルレートは0.7%低下した。このことが意味するのは、現在の外資による不動産投資市場では、投資における通貨値上がりの効果が弱まっているだけでなく、人民元の低下予測がもたらす通貨リスクが拡大の勢いをみせているということだ。
不動産市場の引き続いての調整についてみると、最近、市場は回復傾向にあり、取引量が増加し、不動産企業の土地買取熱が高まっているが、社会保障対策としての住宅建設が大規模にうち出されようとし、不動産税が対象範囲をさらに拡大しようとしている中、剛性需要を満足させる部分の増加や純粋な投資需要の構造的な硬直化に直面して、海外資本による中国不動産市場への投資に潜む産業リスクが拡大傾向をみせている。
経済の持続的な低迷についてみると、中国経済は09年から10年にかけて短期的に回復傾向をみせた後、過剰な投資による経済喚起策やその後に発生した欧州債務危機の悪化により、外部需要が持続的に低迷することになり、その影響は中国経済にも及んだ。昨年下半期以来、中国経済は持続的に低迷し、今年上半期の国内総生産(GDP)成長率は3年ぶりに8%を割り込んで7.8%となり、その他のマクロ経済指標も軒並み低迷した。こうした情況の下で、海外資本の対中国不動産市場投資のマクロ経済面でのリスクがますます拡大している。
当然のことながら、リスクの原因の判別や波及について考えると、これらの大きな要因は海外資本の中国不動産市場に対する温度低下に対し、一定の相互条件や交差性の反射といった現象をみせている。ここから、不動産市場は短期的には回復の可能性はないと推測することは、間違いがないとみられる。現在の情況についていえば、さきに行われた大幅な通貨緩和の土台となった条件はすでに存在していない。所得分配制度の改革をスタートし、内需のバランスの取れた経済構造を牽引するためには、不動産価格の上昇を抑えたり、不動産価格の引き下げ幅を拡大したりすることが前提となる。
「人民網日本語版」2012年9月4日