アジアのサプライチェーンは世界の景気循環において最も重要な一つである。アジアの経済圏の多くが完成品を生産せず、生産の一部を請け負い、各経済圏の間に縦型の経済関係ができている。
統計を見ると、アジアの対欧米輸出が占める割合はここ10年で大幅に低下し、域内貿易の割合は上昇している。アジアのサプライチェーンの中国を中心とする動きは強まっているが、日本は依然として重要な役割を果たしている。日本は中国に次ぐ2番目の中間材貿易国であり、中国におけるアジアからの中間財輸入額の3分の1以上を占める。中日関係の緊張状態が続けば、日本の中間財輸出は減少し、アジアのサプライチェーンの中心である中国の製造にも影響が及び、一連の連鎖反応が起こると考えられる。
世界が金融危機の深刻な影響を乗り越えてから、欧米諸国のゆっくりした景気回復と異なり、アジアの新興経済圏は2010-11年に高成長を遂げ、世界の経済成長の主なけん引力となった。ところが今年に入って、欧州債務危機の影響により、アジアの貿易情勢は全面的に悪化しつつある。オランダ経済政策分析局がまとめた毎月の世界の貿易動向に関する統計によると、今年1-5月の世界の貿易量は前年同期比で2.6%増加し、前年の伸び率の8.5%を大幅に下回った。また、世界の経済成長のけん引力と見られているアジアの輸出はわずか2.6%の増加にとどまり、前年の12.1%と比べて大幅に縮小、2009年4月以来もっとも深刻な状況となった。
アジアのサプライチェーンは世界の貿易増加に大きく影響することから、日本の釣魚島問題での誤った行動による世界経済への悪影響は時間の経過とともに現れ、世界経済をさらなる苦境に追い込むと見られる。これは誰も望まない状況である。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年9月25日