より注目すべき点は、企業がコスト上昇分を消費者に転嫁するのが難しくなっていることだ。アーンスト・アンド・ヤングの調査によると、回答企業の85%が、コスト上昇のうち最終消費者に転嫁できるのは最大で3分の1、との見方を示した。また半数の企業はコストの転嫁について希望がもてないとしている。アーンスト・アンド・ヤングの分析によると、中国では投入物価格の上昇ペースが産出物価格の上昇ペースを上回る状態が長らく続いている。2つのペースの間の開きは09年の平均4.5%から、11年は10.0%に拡大。これは一方では製品のコスト上昇を反映するものであり、また一方では生産能力の過剰問題を反映するものでもある。企業の利益の伸びが鈍化し、製品の価格が低下するのにともなって、企業の利益率は今後さらに大きな圧力を受けることになるという。
アーンスト・アンド・ヤング中華エリアコンサルティングサービスの主管パートナーのナイジェル・ナイトさんによると、所得の伸びの鈍化やコスト上昇がもたらすマイナス影響をうち消したいと思うなら、唯一の方法は生産効率を高めることだ。「中国は新興の経済体であり、成長への潜在力は巨大だ。企業は統治システムやプロセスを改善して、製品とサービスを多様化し、情報技術(IT)を活用し、研究開発水準を引き上げ、人材資源のレベルを向上させるといった方法で、生産効率を高めることができる。こうした方法の中にこそ中国の潜在力を発揮させるためのカギがある」という。
「人民網日本語版」2012年9月26日