これまでの支出超過による成長は、経済成長であれ、社会や環境の成長であれ極点に達しており、すでに終わりに来ている。これこそが今、グローバル経済が同じ歩調で調整を行わなければならないことの理由だ。米国に調整が必要なわけではなく、中国に調整が必要なわけでもなく、世界のすべての国が同じ歩調で調整を行わなければならないのだ。
こうした過程で、今後は高額の負債、高額の赤字、高い失業率というそびえ立つ3つの山が発達した経済体に圧力をかけることが予想される。この過程でレバレッジ、債務、福祉から遠ざかることになるのは必然的だ。債務や福祉から遠ざかる過程の中で、米国は高い失業率を受け、4回の量的緩和措置を相次いでうち出した。欧州は2回の再融資計画をうち出し、日本は金融危機以降、10回にわたって融資の操作を行った。こうしてこれまでの通貨政策の最低ラインが大幅にうち破られることになった。こうした措置と引き換えに成長をはかろうとしたのだが、成長は実現しただろうか。実現しなかった。各国は債務の泥沼に沈み、経済の谷間をあてどなくうろつき回っている。