衆議院総選挙の結果は世論調査の結果と一致し、政権与党の民主党が大敗を喫した。首相再任を果たす見通しの安倍晋三氏は、日銀の大胆な量的緩和策のスムーズな実行に向け、道を切り開く可能性がある。安倍経済学により、失われた10年が続く日本経済に好転が生じることはあるだろうか。12月22日付香港紙『太陽報』が伝えた。
2007年に腹痛を理由に辞職した安倍氏は、潰瘍性大腸炎を抑える新薬を服用していると述べた。これが効果を発揮しているかは自分にしか分からないが、安倍氏が日本経済に対して出した新薬の効果については、疑問の声があがっている。日本経済は長期的なデフレに陥っており、人々は消費を先送りしている。内需低迷は投資に打撃を与え、雇用機会の創出に影響を及ぼしている。安倍氏は物価目標を1%から2%に引き上げ、物価上昇前に現行枠組みを上回る歳出枠を確保し、景気回復を促すことを主張している。
1990年代前半、自民党政権は景気刺激に向け、10年間で100兆円以上の公共投資を推進したが、日本経済は低迷を続けた。安倍氏が古いやり方や引き伸ばし策をとり、紙幣印刷による量的緩和策を実施すれば、その効果の発揮には時間が必要となる。
物価上昇率の引き上げによる消費刺激が、日本経済のけん引に対してどれほどの効果をもたらすかは未知数だ。日本の高齢者は年金と貯蓄により生活している。物価上昇は円による購買力を損ねるため、高齢者がさらに節約に向かう可能性がある。終身雇用制の崩壊に伴い、失われた世代とされる若者の多くは、低給の派遣社員となっている。彼らはインフレの環境下でも切り詰めた生活を送っており、インフレが生じれば消費力を失う。インフレによる消費刺激は、机上の空論になる可能性があるのではないか。
日本政府は毎年、国家予算の半分以上を借金返済に充てている。今後5年間で過半数の債務が満期を迎えるが、融資条件について再び協議する必要がある。投資家の日本国債購入は、物価上昇前の駆け込み需要に過ぎない。日本がデフレからインフレに向かう際、政府は国債の収益率を高めなければ、投資家を引き付けることができない。インフレによる経済けん引に伴い、毎年の国家予算に占める負債比率がさらに高まる。借金で借金を返済するという日本の問題が、さらに深刻化する恐れがある。
公共投資および物価上昇による景気回復の効果については、予想が困難だ。しかしこの刺激策による、財政赤字の深刻化は不可避だ。安倍氏の下剤による腹痛治療が失敗した場合、日本の財政がさらに力を失う。長期的に見ると、日本の国債格付けの維持が不可能になる。低金利の国債発行により、日本はいつまで食いつなぐことが可能だろうか。安倍氏は一か八かの大勝負に負けたとしても、また腹痛を理由に辞任すればよいだけだが、これにより日本国民が政界の極右勢力に特効薬を求め、軍国主義を復活させる可能性を無視することはできない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年12月25日