総選挙の前日、東京は雨が降り、ひときわ寒い一日になった。自民党総裁の安倍晋三氏はその日、東京の秋葉原駅前で最後の演説を行っていた。麻生氏も安倍氏も首相を経験している。聴衆の誰もが彼らを知っている。
麻生氏は、「自民党は安倍晋三氏を総裁に、石破茂氏を幹事長にする。両者が抱える問題意識はそれぞれ違う。しかし我々は一致協力して行っていく。それが自民党の良き伝統だ」と述べた。
聴衆の熱気から見て、麻生氏が指摘したような「安倍氏と石破氏の不和」を気にする人は少ないようだった。
強敵は党内にあり
「安倍さんは石破氏の勢力を非常に警戒している。9月の総裁選挙の際、1回目の選挙では石破氏に対する支持が高かった。国会議員を中心に行われた2回目の選挙の時になって、やっと安倍さんが総裁に選ばれたのだ」。自民党を取材している日本の雑誌記者がそう語る。 自民党の内部抗争の激しさは、党外闘争と比べても全く遜色がない。石破氏は自民党内において非常に強大で、安倍氏は彼の突然の攻撃に常に備えておかなければならない。