-----米ドルの対円レートが、安倍氏の目標を実現する可能性はあるか。
趙氏:安倍氏が無理に円安操作を行えば、実現は可能だ。今年2月ごろ、1ドル=76円であったが、現在は85円台に達している。つまりすでに10ポイント上昇したわけで、安倍氏が目標に掲げた90円まであと6ポイントのみだ。日銀がさらに強硬な操作を行えば、これは実現可能だ。
-----過去を振り返ると、このような為替操作による効果は限られている。また米財務省は1年前に、日本の為替操作を非難した。日本は今年、為替操作に対して慎重な姿勢だった。安倍氏本人も為替操作の効果に疑問を呈していたが、なぜ今になり逆の態度を示しているのか。
趙氏:日本経済の最大の問題は高齢化だ。高齢化の進行により、消費の増加率が低下する。日本がいわゆる「失われた10年」に突入した際、日本最大の消費市場は欧米市場・中国市場であった(新興国市場、特にアジアの新興国市場)。しかし現在、欧州と米国は輸出による地域経済の振興を目指している。日本の一部産業は今後、経済構造の調整を図る中国経済との間で摩擦が生じるだろう。日本が中国市場を失った場合、将来的な経済成長はどこに求めるべきか。このような状況下、安倍氏が政治スローガンにより景気刺激策を実現しようとするのも理解できる。しかしその効果についてだが、人為的な為替操作はせいぜい短期的な効果しかもたらさず、経済全体の新興に対する効果は非常に限られている。