第二に、3つの緩和政策では金利の効果によって経済成長を効果的に喚起することが難しい。緩和政策が、特に通貨政策が実体経済に作用する場合の重要な経路は、中期・長期金利を低く抑えることにあり、ひいては経済復興に向けた良好な経済環境を創出することにある。だが長期的なデフレを背景として、流動性が落とし穴にはまっており、緩和政策がさらに中期・長期金利を低く抑えることによる限界効用は小さいといえる。
より注意すべき点は、日本の3つの緩和政策で最も重要な部分は、財政赤字を補填するための通貨の発行にあるということだ。これは表面的には長期的なインフレ観測を推し進める強力な手だてだが、実際には日本の債務リスクの導火線となる可能性があり、債務リスクが爆発すれば、日本国債は投げ売りされ、金利が上昇して下がらなくなる恐れがある。