■異なる経済成長
蔡氏は、「人口面のメリットが失われ、中国の経済成長のすう勢にこれまでと異なる変化が生じる。潜在的な成長率は、生産力の投入、資本の投入、生産効率の進歩によって決まる。人口面のメリットが失われることで、この3つの面に深刻な影響がもたらされる」と語った。
言うまでもなく、人口面のメリットが失われることで、生産力が減少する。他にも、投資収益率が低下する。蔡氏は、「かつて中国は従属人口指数が低く、生産年齢人口の負担が軽かったため、高い貯蓄率を維持でき、投資の増加が促された。今後はこれとは正反対の状況になる。また生産力の不足のため、投資収益率の低下という現象が生じる」と分析した。
生産効率の進歩は、技術の進歩であり、生産力などの資源配置効率の 向上でもある。生産力を、生産効率の低い部門から高い部門に移したならば、生産効率が改善される。
蔡氏は、「中国経済の今後の成長は、人口面のメリットが失われるに伴い減速するだろう。第11次五カ年計画期間(2006-2010年)、中国経済の潜在的な成長率は10.5%に達した。これが第12次五カ年計画期間(2011-2015年)には7.19%に、第13次五カ年計画期間(2016-2020年)にはさらに6.08%に低下すると予想される」と指摘した。