■やるべきでない対策
過度な投資拡大による需要増は、経済成長率を人為的に引き上げる。
蔡氏は、「人口面のメリットが失われつつあり、中国経済は今後『減速の関門』を通過しなければならない。我々はすう勢を直視し、これを平然と受け入れ、積極的に対応するべきだ。対策は、やるべきでない対策とやるべき対策の二つに分けることができる」と述べた。
やるべきでない対策は、経済成長率の低下をよしとはせず、過度な投資拡大、需要増によりこれを人為的に引き上げることだ。蔡氏は、「今後、新たな経済の原動力が提案されるだろう。これには、中西部のインフラ整備への投資拡大などが含まれる。中国は過去にその成功例を持ち、手馴れている」と語った。
蔡氏は、「しかし、潜在的な成長率を故意に上回ろうとするこれらのやり方により、生産能力の過剰、インフレ、産業構造の比較優勢の消失、資源不足といった深刻な結果が生じる恐れがある」と注意を促した。
蔡氏は、「この点に関しては、日本の教訓が参考になる。1950年代から70年代の20年にかけて、日本のは低下を続けた。経済もまた、年間平均9.2%の高度成長を実現した。従属人口指数が最も低い水準に達し、この水準を約20年間維持していた際、日本経済の成長率も3.8%に大幅に低下した。政府も民間も経済成長の減速をよしとはせず、さまざまな手段を講じた。金融政策は緩和を続け、財政政策は拡大を維持し、地域発展政策・産業政策・マクロ経済刺激策を大々的に実施した。1990年以降、日本の従属人口指数は上昇を開始し、人口面のメリットが失われ、上述した刺激策が悪い結果をもたらした。深刻なバブル崩壊が発生し、その後は年間成長率がわずか0.85%の失われた20年に陥った」と紹介した。
蔡氏は、「日本の従属人口指数の移り変わりはフライパン型であり、中国はじょうご型で、一定水準を維持した時期が存在しない。これはつまり、中国の潜在的な成長率が日本よりも急激に低下し、中国人もそれをよしとしないことを意味する。潜在的な成長率の低下は恐ろしくない。恐ろしいのは、人々がさまざまな対策を講じ、経済成長率を潜在的な成長率以上に引き上げようとすることだ」と警鐘を鳴らした。