林国本
食糧生産の九年連続豊作という朗報をテレビで知って、世界に飢餓線上にさまよう人たちのいる昨今、中国は非常にスムーズに十三億数千万の民を養う課題を解決することができて喜ぶべきであるが、十三億という人口を考えると、この課題は大いに重視すべきだと思う。
一年や二年の不作となっては、いまのストックでゆうゆうと乗り切れるが、世界の気候変動などを見ていると、この課題は真剣に取り組む必要があろう。
有人宇宙飛行、宇宙ステーションの構築への布石、深海探査船開発、スーパーコンピューターの開発の成功と使用など工業、ハイテクの面で次々と成果をあげている中国。現在の中国の経済力、工業技術によれば、農業の近代化はそれほど難しいことではない。また、農業技術、農業科学の面での人材の蓄積もかなりのものである。アフリカなどにも技術者を派遣している時代である。この時点で、農業基盤整備、水利施設の整備、大型農業機械の開発に力を入れれば、工業、科学技術の発展を支えることができるし、都市化、内需の拡大にも貢献することになろう。