呉宇楨
日本の老舗自動車メーカーのトヨタは28日、2012年の自動車販売量が975万台に達し、2年ぶりに首位に輝いたことを発表した。同時期、フランスの老舗メーカーのルノーは、大規模リストラの発表に端を発する人員削減反対デモに苦しんでいる。興味深いのは、昨年に中国市場で重傷を負ったばかりのトヨタが、どうして世界一を奪還できたのかということだ。
分析によると、まず日本の自動車工業の復活とアメリカなど主要市場の経済回復が大きい。日本メディアの分析によれば、グローバルな均等分散と、重点を際立たせる差別化戦略がトヨタならではの強みだとしている。
トヨタの今回の成功は、新興自動車市場の需要に対する時宜を得た対応といえる。力強い北米市場での販売が中国市場の販売低下の影響を補ったと、業界筋は分析する。少子高齢化が加速している日本国内でトヨタは小型車とハイブリッド車の販売を推し進めている。2012年の販売数は前年比で35.2%の増加だった。海外市場ではさらに機敏に反応した。環境や省エネに関心が高まるニーズを捉え、北米市場でアヴァロンやプリウスの新型を含む19種類の最新省エネカーを発表した。2012年はプリウス系だけで238,000台を米市場で売り上げ、新車販売の16%を占めた。
トヨタはグローバルな均等分散の市場戦略を重視している。中国や韓国など東アジア市場における激烈な競争に比べ、東南アジア市場でトヨタは安定したシェアを維持している。タイやインドネシアでは9割のシェアを占める。
また、欧米の自動車メーカーと比べ、トヨタを始めとする日本メーカーは環境や省エネに対する研究開発において先行し続けている。2011年の東日本大震災以降は差別化を更に推し進め、新エネルギー自動車の投入を強化している。ほぼすべての企業でプラグインハイブリッドカーや電気自動車、燃料電池車の研究開発を行っている。日本政府も減税等の優遇政策を採っており、新エネルギー自動車の販売を後押ししている。
トヨタの復活は、日本企業の伝統的な経営手法を再評価するきっかけとなるかもしれない。そう考える日本のエコノミストもいる。現在、これまで強力な市場だった欧州は短期内での低迷脱出が困難である。アメリカも2011年から自動車市場が上向き始めているが、完全復活には程遠い。かつての栄光ある地位を奪われ、そして今回奪還したトヨタは、日本企業の新しいモデルになる可能性がある。
ある日本の経済評論家は「日本人はこれまで、製造業の持つ精密な眼で世界を見てきた。今日、我々は時代に即しながら世界を理解し、豊富で多様な商品を作ることで市場の多様なニーズに応えなければならない」との見方を示す。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年2月2日