中国人民銀行(中央銀行)の統計データによると、昨年末時点で中国の広義貨幣流通量(M2)残高は97兆4200億元に達し、100万元突破も時間の問題となった。この数値は世界マネーサプライの4分の1弱に達しており、中国は世界一のマネーストック大国となった。
この数値は米国の1.5倍、英国の4.9倍、日本の1.7倍に相当し、ユーロ圏全体のマネーサプライを約20兆元上回っている。
特に注目すべきは、これらの通貨の大半が、過去数年間で蓄積されたことだ。2000年当時の中国のM2残高は約13兆元で、2008年の時点でまだ50兆元未満だった。しかし世界金融危機が発生すると、2009年よりマネーストックは毎年10兆元のペースで増加し、過去数年間で急増した。
客観的に論じれば、通貨の急増はどの部門の責任でもなく、長期に渡る中国の経済発展の不均衡、国際収支のダブル黒字による結果である。
短期間内に大量の貨幣を蓄積することが、経済にもたらす影響はいわずと知れたことだ。世界通貨の米ドルは過去数回の大規模な供給により、世界の米ドル保有者に壊滅的な被害をもたらした。ニクソン時代のジョン・コナリー財務長官は、「米ドルは我々の通貨だが、あなたたちの問題だ」という名言を残した。しかし米ドルは、世界各地に流通している。人民元の海外進出が進まない現状下、中国国内で膨張したマネーストックは、国内経済運行のリスクを高めている。中央銀行貨幣政策委員会委員の李稻葵氏は、「中国がかくも大規模なマネーストックを保有することは、頭上に堰止湖をのせるようなものだ」と例え、「過度に大規模なマネーストックは、インフレ、資産価格のバブル、資金の外部流出といったリスクを招く」と指摘した。
中長期的に見た場合、急増するマネーストックは中国経済の「通貨化」という傾向を余す所なく示し、より深刻な結果を引き起こすだろう。現在のM2の対GDP比は190%に迫っており、過去数年間で比率を急速に高めている。これは投資効率の大幅な低下という事実、資金による経済成長推進という発展方式が行き止まりに向かいつつあることを示すものだ。資金による経済けん引という考えに終止符を打つべきだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年2月2日