人民元はこれ以上高値になる理由がない
「日本による制限のない緩和政策が、アジア経済にマイナスの作用を及ぼしつつある。中国、インドなどアジアの新興諸国家では、2つのはっきりした懸念が生じていると言わざるを得ない」と上述のアナリストが指摘する。「昨年以降、中国の中央銀行は頻繁にリバースレポを実施して流動性供給に努めてきたが、これは中央銀行による通貨政策で2つの困難が生じていることを意味する。1つ目は、国内の流動性が存分に高まった状況では、これ以上の緩和はさらなるインフレを引き起こしかねないという懸念。2つ目は、世界的に通貨がだぶついた状態で、もし中央銀行が利息を引き上げれば、ホットマネーを引き寄せることになるという懸念だ」。
このアナリストはさらに、「確かに人民元レートの引き上げ速度はすでに緩慢化している。それでも上昇傾向にあることは確かで、それがホットマネーを引き寄せている」とも指摘。2012年は1度だけ対ドルで下落したことがあるが、最終的には上昇に終わった。2013年、人民元は対ドルで2%程度上昇するというのが普遍的な予測となっている。