次に、中国の貨幣創造には、先進国と異なるメカニズムがある。これは外部供給メカニズム、外貨買い取り専用資金のことであり、中国の「莫大なマネーサプライの謎」を解くカギとなる。WTO加盟以来、中国の輸出の高成長および蓄積された外貨準備高は、貨幣創造のメカニズムと供給構造を大きく変化させた。外貨準備高の増加、中央銀行の不胎化介入政策により、中国の外貨買い取り専用資金が急増している。2002年末から2011年にかけて、外貨買い取り専用資金は2兆2100億元から25兆5200億元に増加し、11.5倍増となった。外貨買い取り専用資金の増加分が中央銀行基本通貨に占める比率が高まり続けているため、中国の貨幣創造は「受動的創造」に属する。
最後に、投資に対する過度な依存度もまた、通貨の受動的な超過発行の主因となっている。金融資源の国有経済に対する過度な依存、国有部門の予算に対する「ソフトな制約」は、金融資源の効率低下を招いている。経済の高度成長を維持するためには、さらなる信用貸付・貨幣供給に依存する必要があり、「経済成長→投資需要→通貨需要→通貨供給増加」が形成される。これは上昇を続けるM2の対GDP比によって自ずと示されている。