デベロッパーおよび市場の立場から見ると、任董事長は本当のことを口にしたと言える。デベロッパーにとって、住宅を売れば売るほど価格が上がり、利益を得るチャンスが膨らむ。市場での取引が低迷し、住宅価格が低下すれば、デベロッパーは利益を得られないばかりか、元手を割る可能性さえある。そのため一部のデベロッパーは、政府の住宅購入抑制策に対して遠回しな批判をしている。
しかし、不動産業界が完全な市場化の道を歩み自由に発展し続ければ、それは非常に危険である。昨年下半期より、多数の住宅を保有する政府関係者などが何人もネット上で暴露され、批判されている。これは住宅価格の高騰、住宅分配の不均衡に対する社会の苛立ちを反映している。住宅価格の高騰により、家を持つ人と持たない人の間に富の溝が生まれているが、これは給与などの所得分配改革によって補えるものではない。
ノーベル経済学賞の受賞者、アマルティア・センの「相対的剥奪論」によると、社会において富豪とデベロッパーが住宅価格を不当に高騰させた場合、多くの人の住宅購入能力と居住の権利を剥奪することになる。いかなる国家においても、住宅は経済性・社会性を兼ね備えている。住宅は社会性を持つため、一般的な商品として扱うことはできず、その社会的影響を考慮し適切な政策により干渉する必要がある。