先進国が争って自国通貨の安値を目指すことが、輸出を主な原動力としてきた新興市場国家に影響を与えることは言うまでもない。「自国の問題を他国に押しつける」という1930年代の貿易戦争の再来かとの懸念を持つ新興国家は、過剰な流動性が自国の実態経済を危うくすることを心配している。これに対して先日閉幕したG20では、通貨戦争は避けるとの認識で一致している。中国財政部部長の謝旭人氏はこの会議において、先進国は財政問題と経済回復の関係性をしっかり整理し、短期的な経済成長を目指すと同時に、中期的な財政の持続性を実現させ、また金融緩和策がもたらすマイナス面を減少させるべきだと指摘した。
中国社会科学院世界経済研究所国際投資室の副主任、張明氏は、「円安が諸国家にもたらす影響は、今のところ3つ考えられる。第一に、他国に通貨高の圧力をもたらす。下手をすれば通貨戦争が生じたり貿易摩擦が激化する。第二に、世界の短期流動資本の規模が増加、または不安定化する。第三に、世界のエネルギーやコモディティの価格が高騰する。それにより中国を含む諸国は輸入性のインフレ圧力がかかる」と指摘する。