◆提携の溝
シャープは2012年3月に日本で、鴻海に10%の株式を売却することにより、670億円の出資を受け入れることを発表した。これは鴻海が、日本生命を上回るシャープ最大の株主になることを意味する。
シャープが鴻海からの出資受け入れを検討したのは、同社が2011年度に2900億円という巨額の赤字(創立100周年で最大の赤字)を計上したためだ。
しかし両社の提携の情報が伝わってからというもの、その提携にとって不利な情報が絶えず伝えられている。
メディアは2012年12月4日、シャープがクアルコムと資本・事業提携を行う情報を報じた。この情報は、シャープが鴻海に対して「シャープへの出資を希望する第三者が他にもいる」という、強いシグナルを送ったことを意味する。当時市場からは、シャープと鴻海の関係に溝が生じ、両社の交渉が決裂する可能性があるとする声があがっていた。
近頃、両社の交渉決裂の情報が再び伝わっている。業界関係者は、シャープと鴻海の資本提携に期待しないと表明した。全国消費電子チャネル商連盟の呉咸建秘書長もまた、鴻海は経営権・管理権を求めているが、シャープがこれに応じることはないと指摘した。