今回の通貨戦争の発端は、2007年に米国がサブプライム危機に陥った時まで遡る必要がある。それから今まで、米国は休むことなく通貨を発行し、量的緩和政策も強化し続けてきた。「米国経済は規模が大きいうえに、開放性が高いため、国内政策が外国に対して非常に大きな波及効果を持つ。貿易と資本移動という2つのルートを通じて、他国にインフレと資本バブルをもたらす。バブルが崩壊すれば、金融危機に発展する」と、孫氏は分析する。
米国の他、日本の新しい首相もさらなる金融緩和政策を講じ、日本経済のデフレ脱却を後押しする方針を何度も表明している。米日に続き、欧州中央銀行、英国中央銀行など西側の金融政策決定者もさらに積極的な金融政策を講じて景気を刺激する方針を次々に表明している。こうした国々の動きは緊張を激化させ、ブラジル、韓国、イスラエル、スイスなどは自らを守るため、強硬措置を講じて自国通貨の過度の上昇を防がざるを得なくなった。
だが国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は、通貨戦争という話題には何の根拠もないと指摘。経済協力開発機構(OECD)のグリア事務総長も「いわゆる通貨戦争は勃発していない」としている。これに対して孫氏は「IMFが通貨戦争に対して否定的なのは、先進経済国と政治的に利益同盟にあり、先進国経済の安定が彼らの利益と合致するからだ。もし中国などが通貨戦争を引き起せば、彼らはむやみに非難するだろう」と指摘する。