◆中国けん制
TPPは米国に有利な貿易協定とされている。日本がTPPに加入した場合、日米のGDPはTPP加盟国全体の91%に達する。TPPは事実上、「日米自由貿易協定」になる。そればかりではない。米国はTPP実施により輸出額を11%増加させることが可能になり、オバマ大統領を喜ばせることだろう。
アジア太平洋政治経済調査研究センターの蔡成平理事長は2年前に、「日本のTPP加入は、日本の未来の政治・経済の方向性を左右し、さらに東アジアの統合に影響をおよぼす。中国の東アジア戦略は、これにより受動的な立場に置かれるだろう」と予想した。
厖氏は、「2008年に米国がTPP交渉の参加を宣言し、オバマ大統領がアジア太平洋の軍事力配備の強化を表明すると、TPPは米国が中国を排斥し、アジア太平洋の経済発展の主導権を独占するための戦略的ツールとなった。中国のアジア太平洋一体化は、10+3(ASEAN+中日韓)が中心で、さらに10+6(ASEAN+中日韓・オーストラリア・ニュージーランド・インド)を加えることができるが、通常は米国を含めない。これは米国にとって望ましくないことだ。特に2010年に中国ASEAN自由貿易区が誕生すると、米国の懸念が深まった。中国のアジア太平洋における力が強化を続ければ、米国をアジア太平洋の経済圏から排斥するだろう。米国はTPPを地政学上のツールとし、中国のアジア太平洋研地域における経済影響力を相殺しようとしている。当然ながら、中国も受動的に対応するべきではなく、TPPの進展に注目するべきだ。TPPの一部の議題が中国にとって有利である場合、中国も一部領域でTPPに参与する興味を示すことができる」と提案した。
「人民網日本語版」2013年3月16日