安倍首相が今月の訪米で伝えたTPP交渉参加決定のタイミングは、日本が現在貿易戦略の調整中であり、今後一定期間TPP交渉とFTA交渉を並行して進めることを示している。「現在日本は『両賭け』戦略をとるほかにない」と中国国際問題研究所世界経済・発展研究部の魏民副研究員は指摘した。
中国社会科学院日本研究所の厖中鵬氏は取材に「日本にとってTPPと中日韓FTAはどちらも容易に妥結できる交渉ではない」と述べた。
TPP交渉には現在11カ国が参加している。7月に正式参加する日本を加えれば、この環太平洋地域の多国間貿易交渉枠組みは12カ国になる。厖氏は「12カ国は経済発展水準が同じというわけではなく、TPP参加の動機も異なる。そして多国間貿易交渉というものは、いずれも各国の経済貿易の各方面におよび、複雑なものであり、長期化も必至だ」と述べた。
TPPと比べると中日韓FTA交渉は三カ国がずっと少ないが、3カ国間の違いや溝も一目瞭然だ。厖氏は「日本は成熟した先進経済国、韓国は新興の先進経済国、中国は急速に発展している経済国だ。中日韓、日韓間には根深い領土問題がある。日韓間には激しい経済競争があり、両国共に中国市場を奪い合っている。日本は国内に強大な農業保守勢力を抱え、農産物の関税を引き下げる各種の貿易協定に反対し、中日韓FTAにも反対している」と指摘した。