日銀は過去例にない大胆な賭けに出た。これは日本ひいては世界を、より危険な崖っぷちに追いやるかもしれない。
黒田東彦日銀総裁は「量的・質的金融緩和」という大規模な景気刺激策を発表すると、これまで安全資産と見なされてきた日本国債先物が、2002年9月以来最大の下げ幅を記録し、取引が2営業日連続で一時ストップした。10年物国債利回りは、稀に見る大幅上昇となっている。日銀がこれほど過激な政策を講じたにもかかわず、国債利回りが逆に上昇したことは、非常に危険な信号を示しているように見える。
217%・232%・277%――これは日本の2009年・2012年・2016年の公債の対GDP比だ。世界3位の経済国である日本は現在、債務の重圧を受け停滞に向かっている。債務残高の対GDP比、財政赤字の対GDP比、そして国債依存度のいずれを見ても、現在の日本は先進国の中で最も深刻な状況に陥っている。日本の債務残高の対GDP比は1999年にイタリアを抜き、先進国の中で最高となった。黒田総裁本人も、日本政府の債務水準をこれ以上維持できないと考えているほどだ。