3月、中国の輸出額は前年同期比10.0%増で、2月の21.8%、市場予想の11.7%を下回る結果となった。詳細を見ると、米国への輸出額は前年比6.5%減で、2月の15.7%を下回り、欧州連合(EU)への輸出は14.0%減少し、同じく2月の16.5%を下回った。一方、輸入の伸び率は前年比14.1%となり、市場予想の6.0%を大幅に上回った。米国と台湾からの輸入が大きく伸びたのが主な要因である。
豪州金融大手オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の経済報告書によると、大幅な円安が進んでいるものの、中国の日本からの輸入には特に大きな影響はないようだ。
中国で予想外の貿易赤字
第1四半期のデータから見ると、中国の輸出伸び率は輸入伸び率を10ポイント前後上回っている。中国の国内需要が依然、低迷していることが分かる。
ANZは「やや強力な伸びを示す輸出は、中国の外貨購入に伴う自国通貨の放出が年始に大幅に増加したこととも一致する。このような状況はおそらく、一部のホットマネーが貿易ルートを通じて、中国の厚い利ざやを求めて流入していることを示すものである。このところ、香港市場の人民元建て預金にも明らかな増加傾向が現れており、人民元が勢いよく値上がりしていることを裏付ける」との見方を示している。
3月の輸出額の下落 当面の急務は内需の拡大
著名な経済評論家である余豊慧氏は、「3月の中国の輸出額はわずか13.5%増に止まり、過去数年間の高い伸びと比較すると、下落幅は大きく、楽観できない状況である。外部市場から見ると、需要が安定して増加する兆しはない。国内企業から見ると、労働コストが上昇し、人民元の値上がりが進んでいることにより、中国の輸出商品の価格の優位性は既に失われている。対外貿易の環境もますます悪化しており、国際的な保護貿易主義傾向がますます強まり、中国の輸出にマイナスの影響を及ぼしている。その根本的な解決策は、経済構造の調整を強化し、経済の牽引力の中心を国内需要と消費に移すことである」と指摘した。
輸出統計への指摘に海関総署と商務部が回答