中国政府系シンクタンク「中国社会科学院」傘下の社会学院発展・環境研究所と社会科学文献出版社は25日、不動産青書を発表した。今年の不動産市場について、「市場調整が難しさを増す中、大都市圏では価格が大幅に上昇する」と予測、現在は上海・重慶両市で試行している不動産税(固定資産税の一種)の対象地域を拡大し、不動産保有にかかる税金を増加させる必要性を指摘した。経済参考報が報じた。
不動産青書は「ストック住宅の売却減を背景に、新規住宅の売買がやや増加すると見込まれるが、新規住宅の供給に限りがあるほか、都市間の市場細分化が加速するため、大都市圏では不動産価格が上昇する可能性がある」と指摘。一方、中小都市では安定または下落傾向が強まると予測した。
同研究所の李恩平・副研究員によると、大都市圏とは、北京、上海など全国的な政治・経済・文化の中心地をいい、地域的な大都市も含まれる。こうした都市は潤沢な社会資源で多くの移民人口を引き付けている。中小都市から出てきた高所得の移民人口と潜在的な移民人口は、自分が住むために住宅を購入する「実需」が旺盛で、こうした大都市圏では不動産価格が上昇するとみられる。
またストック住宅の売却について、青書は「開発・流通にかかる税金は高く、保有にかかる税金は低い」という税制が売買を抑制し複数の住宅保有を助長している。
「財政に対する不動産の貢献はいずれも土地の譲渡・開発・売買によるもの」。李氏は「開発・流通の段階には30種類以上の税金が課されるが、保有に対しては不動産税と都市部土地使用税の2種類しかない。現在、重慶・上海両市の試行地域以外では、個人が所有する非営利目的の不動産は不動産税が免除されている」と税制の不合理さを指摘する。