第二に、インターネットの未来はモバイル技術の天下になるというのが、今後の明らかな流れだ。伝統的なインターネットモデルにとどまる多くのIT大手にとって、活力ある若い企業を買収して自社の弱点を補うことは有効な手段になる。双方の価値を高めるだけでなく、未来の配置に向けた戦略的な目的を達成することもでき、一石二鳥だといえる。最近しきりに耳にするマイクロソフト、グーグル、ヤフーなどの強大な資金力をもった大手企業によるM&Aのニュースは、いずれも戦略的な思考に端を発するものだ。
第三に、技術と人材を集めることがネット企業がM&Aを頻繁に行うもう一つの目的だ。M&Aを行えば市場価格を上回る金額での買収といった高いリスクを一時的に支払う可能性があるが、技術と人材を集めるという観点からいえば、予定通りにM&Aが行われれば企業の技術イノベーション能力を大幅に高めることが可能であると同時に、大容量データ時代に技術、支援、人材での先行や優位性を維持することができ、支払った金額を上回るメリットがある。ヤフーは最近、活力ある若い企業を相次いで買収し、その取引において対象企業の開発者がヤフーに所属するよう強く働きかけるのを常としており、こうした見方を裏付ける。