昨年11月より、大幅な円安により日本の輸出企業の利益が増加し、株式市場の大幅な全面高を引き起こし、消費者の自信を高めている。しかし現時点では、輸出受注額に実質的な増加は見られない。
輸出の低迷は、「Jカーブ効果」に合致するとされている。為替相場の低下は、長期的に見ると一国の貿易状況を改善するが、短期的に見ると貿易赤字の拡大を引き起こす可能性がある。これは海外の顧客が、サプライヤーを調整するために数ヶ月の期間が必要だからだ。円安により、輸入コストが大幅上昇している。そのため4月の日本の輸出額は前年同期比3.8%増の5兆7800億円に達したが、輸入額は9.4%増の6兆6600億円に膨らんだ。輸入額の急増は日本の工業品・消費品価格に深刻な影響をもたらしている。昨年2月と3月の水準が高たったため、日本のCPI上昇率(前年同期比)は低下したが、食品・エネルギーを除いたコアCPIは前月比で上昇の傾向が見られる。
物価上昇ムードを受け、日本大手銀行は4月に中長期を中心とする国債を2兆7000億円売り越した。3月には7800億円の買い越しだったことから、投資方向に逆転が生じた。10年物国債の利回りがこのほど1年数カ月ぶりの高い水準を示しており、3月の低数値から約50ベーシスポイント上昇した。これは5月23日の日経平均株価の暴落を招く導火線となった。