もう一つのリスクは、インフレだ。日銀は物価上昇の目標を2%に設定した。この目標を実現しながら、日本経済の成長率が低迷した場合(スタグフレーションが発生した場合)、日本の短期経済政策はより苦しい立場に追い込まれる。この「目標達成はさらなる困難を意味する」政策を推進すべきかについて、学者レベルで激しい議論が戦わされている。例えば中国社会科学院金融所の劉煜輝博士は、日本の量的・質的緩和策を悲観視しており、日本経済を損ねるばかりか、周辺諸国を巻き込むことを懸念している。
それでは、安倍政権はなぜこの問題がある政策の実施を急いだのだろうか。
これは日本の政治環境と関連している。日本では近年、短命首相が続いている。2006年9月の小泉氏の退陣から計算すると、7年未満のうちに日本では首相が7回交代されている(安倍首相は2度目の就任)。これは日本の政治が、新首相が才能を十分に発揮するのを待つ、忍耐力を失っていることを意味する。新首相が就任後の数ヶ月で誇らしい業績を実現できなければ、政権運営を続けるチャンスを失う可能性があるのだ。