ロシア・モスクワで開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議はこのほど、会期を終えて閉会した。世界経済の伸びが引き続き力を欠く情況に直面して、G20の政策決定者の間では、政府債務の削減という目標から経済成長の喚起という目標への転換が共通認識になった。このため、多くの国が再び中国を成長の「エンジン」とみなし始めている。(文:石建勲・本紙特約論説員、同済大学財経研究所所長、同経済・管理学院教授。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
最近、中国の経済成長ペースは鈍化し、少なからぬ欧米諸国が懸念を寄せている。中には、中国が積極的な経済活性化措置を取り、経済のペースアップをはかり、これによって他国の経済復興を牽引するよう提起するところさえある。こうした考え方に対し、財政部(財務省)の楼継偉部長は、「自分たちの宿題は自分たちでやってほしい」とコメントする。
年初以来、中国経済も多くの困難や問題に直面するようになった。長期にわたり政府の投資に頼って成長を維持してきたことがもたらす構造的な矛盾、資源や環境をめぐる圧力がますます増大していること。国内でも海外でも需要が減少し、特に一部の先進国ではグリーン障壁、技術障壁、反ダンピング、知的財産権の保護といった非関税障壁措置に基づく新たな保護貿易主義が横行して、中国の輸出が制約を受けていること。一部の先進国の競い合うような通貨安が引き起こしたホットマネーの襲来、人民元の継続的な値上がり、輸入型のインフレなどだ。こうした複雑で困難な国内外の環境の中にあって、今年上半期の中国経済は7.6%の成長率を達成した。これはたやすいことではなく、世界の経済成長に対する貢献は誰にも否定できないものだ。