その違いとは、中国政府は消費のために債権を発行しているのではないという点だ。政府の債務危機が発生した国の多くでは、公務員の給与や年金などの支払いのために債権が発行された。借金してはすぐに使い切る消費型の債務で、経済効果を生み出すことはなかった。
中国政府が現在発行する債券は、投資に用いられるものが多く、建設型の債務といえる。たとえば高速鉄道、高速道路、土木施設などの建設に用いられ、債務は最終的に資産となっている。中国の負債とこれに対応する資産を関連づけて考えれば、ほとんどの負債は返済可能だといえる。
建設型の負債と消費型の負債は一概に論じられない。よって中国には現在、債務危機が発生する可能性はないといえる。
だが地方債務の問題が大きな課題であることは確かだ。無計画な発展を放置すれば、大きな災いをもたらす可能性がある。地方債務をめぐり、体制、メカニズム、監督管理の枠組などの面で調整を行う必要がある。