すべての国民がMP3を利用する時代には、アップルのiPodはファッショナブルな印象しかなかったかもしれないが、すべての国民がスマートフォンを利用する時代には、iPhoneは一種の習慣的な選択やブランドへの忠誠心を示す行為など多様な意味合いをもつようになった。神様とあがめられたスティーブ・ジョブズ氏がこの世を去り、ティム・クック時代を迎えたアップルは実際のところさまざまな議論にさらされている。アップルでこれまで最も期待を集めてきた新製品発表会も、メディアの過度の関心と秘密保持の不徹底によって暗い影が差すようになってきた。だがアップルはイノベーション不足であると同時に、次の点をおろそかにしていると批判する人がますます増えている。これまでのように、高品質で高い位置づけの文句の付けようがない使用体験を維持することが、消費者をとどめる最大の武器だという点だ。アップルの真の成功といえるのは、世界中で1千万人を超えるファンを生み出したことではなく、携帯電話を買い換えたいと思う消費者の念頭からアップル以外のブランドを追い払ったことだ。このような利用者の体験に根ざした思考パターンのもつ力は非常に強力なものだ。
アップルは困難に満ちた経営の中で、アップル利用者の育成という点では間違いなく大成功した。今回の発表会前に流れた廉価版「iPhone 5C」のうわさに対する熱狂的な歓迎ぶりと罵詈雑言という2つの全く異なる態度の中から、アップルのスマートフォンをもちたいという中国人の「渇望」がありありとうかがえる。携帯電話はグローバル化のレベルが最も高い製品であり、各ブランドの骨身を削る戦いがいつでもどこかで展開されている。今、アップルは最新の武器を抱え戦いに乗り出した。次は中国の携帯電話ブランドとの戦いだ。(編集KS)
「人民網日本語版」2013年9月13日